進撃の巨人・自由論

半分は哲学の解説ブログ、半分は作品の考察ブログ(最近は3:7くらい)。

2 マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

2.7.b みずからの「夢」の責任を引き受けるアルミン (下) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com アルミンの実存的選択または脱マキャベリズム 善をなすことがどれほど困難だとしても、悪が生じるのは必然ではなく、人間の自由からである。 「夢」と現実との落差がどれほど大きいとしても、現実に屈するか現実を乗り越…

2.7.a みずからの「夢」の責任を引き受けるアルミン (上) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com マキャベリスト的ロマン主義者アルミンの挫折 エルヴィンの代わりに蘇ったあと、アルミンは「大事なものを捨てる」決断ができるマキャベリストではなくなってしまったように見えます。なぜでしょうか? 才能が失われてし…

2.6.b マキャベリストと群衆、またはフロックとイェーガー派 (下) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

「上」からお読みを。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com フロックと群衆 さて、なぜ「凡人」フロックが凡人のまま、ここまで徹底的にちゅうちょなく、血も涙もなく冷酷なマキャベリズムを実践できるかを考察してみましょう。 ポイントは、すでに述べたと…

2.6.a マキャベリストと群衆、またはフロックとイェーガー派 (上) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 凡人フロックが欲する「悪魔」 今回は、エルヴィンを「地獄」に蘇らせようとしたフロックに光を当ててみます。 マーレ編以降、まるでエルヴィンやアルミンのかわりに、フロックがマキャベリストの役回りを引き受けたかの…

2.5 なぜリヴァイはエルヴィンではなくアルミンを選んだか ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ほんとうにリヴァイの選択だったのか ずいぶんとエルヴィンの話が長くなってしまいました。 でもようやくここで、次の問題を、哲学的考察のために俎上に上げることができるというもの。 なぜリヴァイはエルヴィンではな…

2.4.b 「かけがえのないわたしの死」を生きる (下) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

「上」から読んでください。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「我々はここで死に 次の生者に意味を託す」 絶対的な死を前にしては、どんな人生も等しく無意味。 そう認めながらも、エルヴィンは叫びます(80話)。 仲間たちの惨たらしい死に意味を与え…

2.4.a 「かけがえのないわたしの死」を生きる (上) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 死の存在論的意味 世界の真実を明らかにするという宿願を、ファウスト的自由を、諦めたエルヴィン。 かれの選択は、状況に迫られて仕方なく選んだ自己放棄でしかないのでしょうか? それとも、たんなる諦めや自己放棄と…

2.3.b 「特別なわたし」の自由またはファウスト的自由 (下) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

「上」からお読みください。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ファウスト的自由 ~ 崇高な瞬間を体験するために この世界に「特別なわたし」が実現される崇高な瞬間を追い求める、ロマン主義的エゴイスト、またはファウスト的自我。 そういうファウスト…

2.3.a 「特別なわたし」の自由またはファウスト的自由 (上) ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ロマン主義と非モラリズム アルミンはマキャベリストを目指しながら、エルヴィンはエゴイズムを貫きながら、二人とも根本的にはある種のロマン主義者であったという点から、考察を再開しましょう。 かれらの行動原理には…

2.2 エルヴィンがマキャベリストではない理由 ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com マキャベリストのようでマキャベリストではないエルヴィン マキャベリスト・アルミンがロールモデルとする、調査兵団の指揮官エルヴィン・スミス。 記事 0.3 で予告しておきましたが、かれは実のところマキャベリストで…

2.1 「何を捨て去れば変えられる?」 ~ マキャベリズム・ロマン主義・実存的自由

導入――自由と非モラリズム 積極的自由の観念によれば、自由とは善いもの、すなわち、人間がそうあるべき自己決定の状態です(0.2)。 しかしながら、自由こそ何にも代えがたい至高の善であるのに、世に言う道徳的な善悪は、人間を束縛し、その自由を制限して…