2021-01-01から1年間の記事一覧
自由でなければ人間ではない? こんにちは。 おふざけでエレヒスネタを投稿した前後から、妙にPV数が伸び出して、ちょっと色々な意味でビビっている小心者の筆者です。 そうはいっても、これが最終章。なにかあっても書き逃げすればいいもんね。 さて、けっ…
この記事はネタなので、あまり真に受けないでね! 序言 第4章がここまでヒストリア推しになってしまったのは予定外。 かのじょのエピソードは、書いているあいだの新たな発見が特に多くて。 第2章のエルヴィンもそうだったけど、それ以上ですね。 (筆者が好…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 父殺しの物語 ついにヒストリアは「自分の使命」を「自分で見つけ」ました(68話)。 それは、ただお飾りの王位に就くことではなく、旧「壁の王」の体制と思想をみずからの手で否定し、新しい体制と時代の象徴としての王…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com なぜヒストリアは女王になったか 王家の巨人を取り戻し、その身に「神」を宿せという、父親ロッド・レイスの要求を拒否したヒストリア。 「女性らしさ」とともに自己犠牲の美徳を受け入れてしまったと思いきや、実際のと…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com フリーダに同一化するヒストリア 幼少のヒストリアに強いられた「クリスタ・レンズ」という第二の人格。 それを規定していたのは、かのじょの異母姉フリーダによって無意識下に植え込まれた「いつも他人を思いやる優しい…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「クリスタ」の鏡としてのフリーダ=始祖ユミル 精神分析の知見を借りつつ、自我の鏡像的形成という観点から、ヒストリアがユミルとの同一化をつうじて自己を解放する過程を、前記事で考察しました。 ひきつづき以下では…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ヒストリアの鏡としてのユミル 前記事では、ユミルにとってヒストリアは過去の自分自身だったと指摘しました。 同じように、ヒストリアもまたユミルに自分自身を見出すようになります。 そもそもは、ユミルがヒストリア…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ヒストリアという目的 ところがユミルはいつしか、自分自身とは異なる目的をもつようになりました。 由緒ある家系の「不貞の子」として生まれたのが災いして、別人として生きることを強いられ、訓練兵に追いやられた少女…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com なぜユミルは「女神様」になってあげたのか ユミルについては、すでにかなり考察が済んでいます。 利己主義者を自認するユミルは、じつは自己矛盾的な利己主義者である。 というのも、破滅的な承認願望をもつクリスタ(…
「上」から読んでね! unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 村に取り残された少女への共感 サシャが自由人なようでいて、実は居心地悪さをこらえ、自分を押し殺しながら森の外の人間たちと接していたということは、すでに見ました。 時は移り、巨人が出現し…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com サシャの食欲と内なる感情 アイデンティティと自由というテーマについて哲学者大放出による解説を終えたところで、『進撃』の登場人物の考察を続けましょう。 そろそろ、かのじょにも出てきてもらわねばなりません。 あ…
「上」から読んでね! unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 外的感覚と内的感情 自分を見失ったヒストリア(ユミルとの別離直後の)に人生の指針を示してもらうため、デカルト、ロック、ヒュームという、三名もの大哲学者にご助言をいただいちゃいましたが、…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 内面的自我とアイデンティティ 人間以外の動物は、自我という観念をもっていません。 もちろん、犬だって猫だってカモノハシだって自分の利益や安全を気づかいます。 でも、わたしはいま自分らしくないとか、自分を自分…
わたしは「何を」と、わたしは「誰か」 みなさんのおかげで筆者の自己満ブログにも訪問者がいてくれてありがとう! ほんとうは今ごろとっくにネタ切れのはずでしたが、なんだかダラダラ続いてしまいますね、このブログ。 年内に終わるかなあ? たぶん第5章が…
「上」からどうぞ。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ライナーの自己欺瞞 みずからの意味ある死によって、罪悪感を埋め合わせたい。 そのような願望を、エレンが「地鳴らし」を開始したあとも、いまだライナーは実現できずにいます。 ジャンに自分の罪深…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 世界の「余計者」としてのわたし 実存主義って、平凡な「普通の」人間の自由を照射するための哲学なんだよ、という話を長々としてきました。長すぎた感もありますが、これで最後にしますので、ご容赦を。 最後はこの人、…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「神でも悪魔にでもなれる」人間 エルディア人を「悪魔」とさげすむ「普通の」マーレ人たち。 かれらは「悪魔」を虐げるふるまいをつうじて、みずからを「凡人のえり抜き」にします。 むしろそういう「普通の」マーレ人…
『進撃』における人種差別 実存主義によれば、普通の人間のデフォルトは非本来性、すなわち、本来の自己を見失っている状態であるという話はしました(3.3)。 この非本来性という状態そのものは、善でも悪でもありません。 でもそれとは別に、本質的に邪悪…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 小市民的な自己欺瞞 あれ、なんだか作品考察ばかりになって、哲学解説ブログじゃなくなってきたぞ。そろそろ新しい哲学者も紹介しなければ。 というわけで、今回はストア派のエピクテトスが出てきます。 さて、実存主義…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com コニーの本来性 以前の記事(3.3 参照)では、コニーが「状況に流され」て調査兵団入りを選んだと指摘しました。 その後、かれが状況にどう対峙し、何を選びとったのかを、ここで考察してみましょう。 コニーにも実存的…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com アニの自己欺瞞 日常的な「普通の」人間のデフォルトは、非本来性である。 つまり非本来性それ自体には、善いも悪いもない。 ただし人間は、本来の自己を選んでいるようでいて、実は自分自身を騙しているにすぎないとい…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 本来性と非本来性 「ほんとうのわたし」を選ぶこととしての自由を、ジャンについて考察しました。 実存主義によれば、ほんとうのわたしとは、純粋に内面的な自己ではなく、むしろ「状況内存在」としての自己です。 特権…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「弱い人」でありつづけるジャン 前回は、ジャンが自由な「状況内存在」となったこと、すなわち「今何をすべきか」を知り、状況を自分自身の責任において引き受けたことを論じました。 みずからの痛み、みずからの弱さを…
主演俳優として引きずり出される「その他大勢」 アルミンの実存的選択にかんする考察において、かれが自由になりうるかどうかは、ロマンティックな夢追い人としての自分自身に対する責任を引き受けられるかどうかに左右される、ということを論じました(2.7.…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com アルミンの実存的選択または脱マキャベリズム 善をなすことがどれほど困難だとしても、悪が生じるのは必然ではなく、人間の自由からである。 「夢」と現実との落差がどれほど大きいとしても、現実に屈するか現実を乗り越…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com マキャベリスト的ロマン主義者アルミンの挫折 エルヴィンの代わりに蘇ったあと、アルミンは「大事なものを捨てる」決断ができるマキャベリストではなくなってしまったように見えます。なぜでしょうか? 才能が失われてし…
「上」からお読みを。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com フロックと群衆 さて、なぜ「凡人」フロックが凡人のまま、ここまで徹底的にちゅうちょなく、血も涙もなく冷酷なマキャベリズムを実践できるかを考察してみましょう。 ポイントは、すでに述べたと…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 凡人フロックが欲する「悪魔」 今回は、エルヴィンを「地獄」に蘇らせようとしたフロックに光を当ててみます。 マーレ編以降、まるでエルヴィンやアルミンのかわりに、フロックがマキャベリストの役回りを引き受けたかの…
unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ほんとうにリヴァイの選択だったのか ずいぶんとエルヴィンの話が長くなってしまいました。 でもようやくここで、次の問題を、哲学的考察のために俎上に上げることができるというもの。 なぜリヴァイはエルヴィンではな…
「上」から読んでください。 unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「我々はここで死に 次の生者に意味を託す」 絶対的な死を前にしては、どんな人生も等しく無意味。 そう認めながらも、エルヴィンは叫びます(80話)。 仲間たちの惨たらしい死に意味を与え…