進撃の巨人・自由論

半分は哲学の解説ブログ、半分は作品の考察ブログ(最近は3:7くらい)。

4 わたしの内なる声としての自由

補論 エレヒス実在説に関する哲学的一考察

この記事はネタなので、あまり真に受けないでね! 序言 第4章がここまでヒストリア推しになってしまったのは予定外。 かのじょのエピソードは、書いているあいだの新たな発見が特に多くて。 第2章のエルヴィンもそうだったけど、それ以上ですね。 (筆者が好…

4.6.b 娘の父殺し (下) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 父殺しの物語 ついにヒストリアは「自分の使命」を「自分で見つけ」ました(68話)。 それは、ただお飾りの王位に就くことではなく、旧「壁の王」の体制と思想をみずからの手で否定し、新しい体制と時代の象徴としての王…

4.6.a 娘の父殺し (上) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com なぜヒストリアは女王になったか 王家の巨人を取り戻し、その身に「神」を宿せという、父親ロッド・レイスの要求を拒否したヒストリア。 「女性らしさ」とともに自己犠牲の美徳を受け入れてしまったと思いきや、実際のと…

4.5.c ヒストリアの鏡 (下) ユミルとフリーダ ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com フリーダに同一化するヒストリア 幼少のヒストリアに強いられた「クリスタ・レンズ」という第二の人格。 それを規定していたのは、かのじょの異母姉フリーダによって無意識下に植え込まれた「いつも他人を思いやる優しい…

4.5.b ヒストリアの鏡 (中) フリーダと「女の子らしい」少女 ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 「クリスタ」の鏡としてのフリーダ=始祖ユミル 精神分析の知見を借りつつ、自我の鏡像的形成という観点から、ヒストリアがユミルとの同一化をつうじて自己を解放する過程を、前記事で考察しました。 ひきつづき以下では…

4.5.a ヒストリアの鏡 (上) ユミル ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ヒストリアの鏡としてのユミル 前記事では、ユミルにとってヒストリアは過去の自分自身だったと指摘しました。 同じように、ヒストリアもまたユミルに自分自身を見出すようになります。 そもそもは、ユミルがヒストリア…

4.4.b 生まれ変わったユミルのアイデンティティと自由 (下) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com ヒストリアという目的 ところがユミルはいつしか、自分自身とは異なる目的をもつようになりました。 由緒ある家系の「不貞の子」として生まれたのが災いして、別人として生きることを強いられ、訓練兵に追いやられた少女…

4.4.a 生まれ変わったユミルのアイデンティティと自由 (上) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com なぜユミルは「女神様」になってあげたのか ユミルについては、すでにかなり考察が済んでいます。 利己主義者を自認するユミルは、じつは自己矛盾的な利己主義者である。 というのも、破滅的な承認願望をもつクリスタ(…

4.3.b 森を出たサシャのアイデンティティと自由 (下) ~ わたしの内なる声としての自由

「上」から読んでね! unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 村に取り残された少女への共感 サシャが自由人なようでいて、実は居心地悪さをこらえ、自分を押し殺しながら森の外の人間たちと接していたということは、すでに見ました。 時は移り、巨人が出現し…

4.3.a 森を出たサシャのアイデンティティと自由 (上) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com サシャの食欲と内なる感情 アイデンティティと自由というテーマについて哲学者大放出による解説を終えたところで、『進撃』の登場人物の考察を続けましょう。 そろそろ、かのじょにも出てきてもらわねばなりません。 あ…

4.2.b われ選ぶ、ゆえにわれあり (下) ~ わたしの内なる声としての自由

「上」から読んでね! unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 外的感覚と内的感情 自分を見失ったヒストリア(ユミルとの別離直後の)に人生の指針を示してもらうため、デカルト、ロック、ヒュームという、三名もの大哲学者にご助言をいただいちゃいましたが、…

4.2.a われ選ぶ、ゆえにわれあり (上) ~ わたしの内なる声としての自由

unfreiefreiheit-aot.hatenablog.com 内面的自我とアイデンティティ 人間以外の動物は、自我という観念をもっていません。 もちろん、犬だって猫だってカモノハシだって自分の利益や安全を気づかいます。 でも、わたしはいま自分らしくないとか、自分を自分…

4.1 「お前... 胸張って生きろよ」 ~ わたしの内なる声としての自由

わたしは「何を」と、わたしは「誰か」 みなさんのおかげで筆者の自己満ブログにも訪問者がいてくれてありがとう! ほんとうは今ごろとっくにネタ切れのはずでしたが、なんだかダラダラ続いてしまいますね、このブログ。 年内に終わるかなあ? たぶん第5章が…